発酵って何?①発酵食品の特徴
2023/02/10「健康や美容のために」というキーワードがきっかけでじわじわとブームが広がっている発酵。健康や美容によいのはもちろんですが、もっと紐解いてゆくと、発酵は自然や微生物による超神秘的な現象で、先人の知恵によって何千年もの時を越えて受け継がれ、地域の気候風土によっても特色がある、本当に奥深い世界なのです。日本の歴史と食文化も、発酵食なしには語れないと言っても過言ではありません。この記事では、「発酵とは何か」を深堀していきたいと思います。
発酵とは
発酵とは、目に見えない微生物(麹菌・酵母・乳酸菌・納豆菌・酢酸菌など)が食物の成分を分解し、新たな有益成分を産生することです。発酵は私たちの身体に有益な働きをし、健康効果を発揮してくれます。
発酵食品の特徴
発酵食品の主な特徴は次の5つです。
①腐りにくい
②発酵特有の香りが生まれ、味覚成分が高まる
③栄養価が高まり免疫強化に繋がる
④歴史性・文化性が高い
⑤究極の自然食品
一つずつ解説していきましょう。
①腐りにくい
食物の保存性を高めるには、乾燥させたり、塩分を加えたり、燻したりすることが挙げられます。冷蔵庫がない時代には、人々はこのような工夫をして、食べ物を保存していました。
発酵食品は、微生物が働くことで腐敗菌の増殖を防ぎ、保存性を向上した食品です。また、発酵によって生成されたアルコールや酢酸、乳酸などには殺菌効果もあるため、雑菌の繁殖も抑えられます。
例えば、牛乳は腐りやすい飲み物ですが、乳酸菌を加えると発酵によってヨーグルトになり、牛乳そのものよりも長持ちします。牛乳から脂肪分やたんぱく質を除いた「ホエイ(乳清)」という液体に乳酸菌を入れると発酵によってチーズになり、こちらも牛乳そのものよりも長持ちします。 鯖は、魚ですので日持ちしませんが、塩とデンプン(ご飯)で数日~数か月乳酸発酵させる「なれずし」は大変長持ちします。中国では数十年前の鯉のなれずしがまだ保存されているというエピソードもあるほどです。
②発酵特有の香りが生まれ、味覚成分が高まる
発酵により、食物そのものの味や香りが変化し、食べやすくなります。
例えば、味噌は仕込んだ直後はただただしょっぱくて、旨みも香りもありません。しかし、微生物が活発に働く環境でゆっくり時間をかけて熟成させると、アミノ酸・イノシン酸・グアニル酸等のうまみ成分が生成され、塩角もとれ、みそ特有の芳しい香りが生まれます。その間人の手はほとんど加えません(熟成後一定期間後に天地返しをする程度です)。ワインや日本酒の芳しい香りも、発酵によって生成されるものです。熟成すればするほど香り高くなるものもありますね。
③栄養価が高まり免疫強化に繋がる
納豆は、発酵食品の代表格で、大豆を納豆菌で発酵させた食べ物です。
興味深いことに、大豆そのものと納豆とでは、栄養価が全く違うということが分かっています。納豆に含まれるビタミンB2は大豆の1.8~4倍、旨み成分のアミノ酸は大豆の100倍ともいわれています。
また、2016年ごろから爆発的にブームになった米麹甘酒も発酵食品です。甘酒には、ブドウ糖やアミノ酸、一日に必要なビタミンが入っていて、その栄養価の高さから「飲む点滴」「飲む美容液」と親しまれているほどです。
④歴史性・文化性が高い
諸説ありますが、世界最古の発酵食品は、紀元前1万年前~8000年前頃に家畜の山羊や牛の乳からできたヨーグルトとも言われています。しかも、たまたま乳酸菌が乳に入ってできた「偶然の産物」だったようです。
日本最古の発酵食品は、こちらもやはり諸説ありますが、4000年前の縄文時代に作られていた魚醤と言われています。当時は釣った魚を保存する為に塩漬けにしていました。塩分で雑菌は抑えられ長期保存が可能な上に、魚が発酵され、水分が出てきます。この水分を濾したものが魚醤です。あまり馴染みのない調味料かもしれませんが、秋田県のしょっつる、石川県のいしる、香川県のいかなご醤油は日本三大魚醤といわれ、現在もその伝統を継承しています。
さらに、味噌・醤油・酢・みりん・酒等、日本の食文化を語る上で欠かせない調味料は、全て麹によってつくられた発酵食品です。そしてこの発酵食品の興味深い点は、地域ごとに醸し出される風味や味が異なるという点です。味噌の場合、およそ20℃を越えると微生物が働きだし、25~30℃になるとより活発になります。日本全国、その土地の気候風土によって熟成のスピードが異なるため、同じ発酵食品でも個性が生まれます。さらにその地域の味噌蔵や酒蔵によっても味わいや香りは異なりますので、発酵食品は個性あふれる唯一無二の産物なのです。
⑤究極の自然食品
発酵食品は、保存料や味付けの調味料の添加物を加えなくてもできる自然食品です(味噌の場合、流通させる上で保存性をより高めるために、醸造用アルコールを添加する場合があります)。 微生物が素材そのものの旨みを引き出し、新たな栄養価や香りを生み出し、より美味しく健康的な食べ物に変身させてくれるのが発酵の神秘的なメカニズムです。
会津の発酵文化がすごい
福島県の西部に位置する会津地方は、周囲を山々に囲まれた盆地です。豪雪の時期を乗り越えた春先に山から流れる綺麗な雪解け水、その雪解け水によって成長する美味しいお米、そして澄んだ空気に恵まれた自然豊かな地域です。さらに、夏と冬の寒暖差が厳しい盆地気候が醸造業に適していることから、味噌や日本酒の発酵醸造が現在も盛んに行われています。
会津天宝醸造は、明治4年の創業から、味噌・漬物・甘酒等の発酵食品を製造しています。中でも、健康イメージの高い玄米を原料にした「玄米オリザーノ甘酒」は、普通の甘酒とは違う玄米独特の香ばしい香りと食感から「まるで食べる腸活甘酒」と、健康のために何かしたいという方から注目されています。初回限定のお試しセットもありますので是非お試しください。